音と音楽に着眼しつつ近代日本の歴史的展開を追います。これは、明治時代以降の日本社会で鳴り響いた音楽それ自体の変化をみようというのではなく、音楽が社会のなかでどのように理解され共有されたかについての変化をみようという試みです。音楽は単なる芸術ではありません。政治的・経済的・教育的に多様かつ重要な役割を果たすことが期待され、実際それを果たしてきた/果たしているのが音楽なのです。
近代日本の音楽を対象とした文化史研究、および思想史研究の成果に学びつつ、日本人のナショナル・アイデンティティーに対する理解を深めてゆきます。